大学受験用の単語帳といっても、ネットや本屋さんで探してみると実に様々な種類があります。これから大学受験の勉強を始めようとしている方の中には、どんな単語帳を使えばいいのか、また現在使っている単語帳で本当にいいのか不安に思っている方もいるかもしれません。
そこでこの記事では単語帳を選ぶうえで大切な事とおすすめの単語帳を現役英語講師ならではの視点でご紹介したいと思います。
目次
単語帳は相性で選ぼう!
まず最初にみなさんにお伝えしておきたいことがあります。
それは、世の中には様々な大学受験用の単語帳がありますが、それぞれの収録単語に大きな差は無いということです。「基礎単語が充実している」とか「難単語までカバーしている」など、もちろん単語帳によって単語選別のコンセプトに違いはあります。しかし、収録されている単語は単語帳によってバラバラというわけではなく、大部分の単語は被っています。それぞれの単語帳が様々な大学入試の問題を分析、登場頻度の高い単語を収録してまとめているのが大学受験用の単語帳なので当然と言えば当然ですね。
つまり、最終的に覚えることが出来ればどれを使っても良いということです。
「どれでもいいなら高校で配られたやつでいいんじゃない?」と思ったあなた、ちょっと待ってください。
大学受験を目指す皆さんであれば、今までに単語を覚えた経験があると思います。
そして覚えたはずの単語を数日後には忘れてしまったという悲しい経験もしているのではないでしょうか。
単語の学習は覚えては忘れ、また覚えては忘れの繰り返しです。
1周や2周で簡単に覚えられるものではなく、何周も何周も、それこそ10周以上繰り返して、やっと覚えられるという人も決して珍しくありません。私は10年以上英語講師をやっていますが、どれだけ優秀であっても、たった1~2周で覚えられたという生徒は記憶にありません。
つまり単語学習での最大の難関は覚えるまで続けられるかということです。では覚えるまで単語帳を使い込めた人たちは、どうしてそれほどの回数を繰り返すことが出来たのでしょうか。
その答えはズバリ、「単語帳との相性が良かった」からに他なりません。
「○○大学に受かった先輩が使ってたから~」とか「ネットの口コミがいいから~」などの理由ではなく、単語帳の特徴を知り、また実際に自分が使う事をイメージして、「この単語帳なら続けられそうだ」と思える単語帳を見つけることが何より大切です。
おすすめ単語帳と特徴
では、自分に合った単語帳をどうやって選べばいいのでしょうか。
ここからはおすすめの単語帳とその特徴、またどういう人に合っているのかを紹介していこうと思います。
①ターゲット1900 6訂版
旺文社から出ている『ターゲット1900 6訂版』です。
こちらは初版から実に40年もの間、大学受験生に愛され続けている定番中の定番。親子2代で愛用したという方も多い、大学受験用単語帳といえばコレという存在です。
このように左ページに見出し語、訳語、フレーズ等が載っており、右ページには例文というシンプルな構成です。おそらく学生の皆さんにとって最も慣れ親しんだ形式で、今まで通りの感覚で学習できます。単語の掲載順は頻出度順になっており、使い始めから効果を実感しやすいという利点があります。訳語は大学受験でよく使われる意味に絞って掲載しているので比較的少ない労力で、効率的に必要な語彙力をつけられます。
②システム英単語 5訂版
続いてはこちら。
大手予備校の駿台から出ている『システム英単語 5訂版』です。
こちらも先程の『ターゲット1900』と並び、大学受験用英単語帳の定番となっています。
本書の特徴はなんといってもミニマルフレーズ。
見出し語の単語とそれと一緒に使われることが多い単語とを組み合わせたフレーズのことで、単語の意味だけではなく使い方までまとめて覚えてしまおうというものです。このフレーズが非常によくできており、単語単体よりも意味をイメージしやすく定着率が上がります。従来の単語学習ではすぐに忘れてしまったり、無味乾燥としていて面白くないため続かないといった方にはこのミニマルフレーズは有効な選択肢です。また使い方が身につくことで、近年出題が増えている英作文対策にもなります。こちらもターゲットと同じく単語の掲載順は頻出度順になっており、使い始めから効果を実感しやすい構成になっています。
改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁
おすすめ単語帳第3弾は『改訂版 鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』。
こちらは東大受験でおなじみの鉄緑会から出ている単語帳、通称『鉄壁』です。
この単語帳の特徴はいくつかありますが、一番の特徴であり強みは単語がテーマ別にまとまって収録されているところです。ターゲットのような従来の単語帳では単語が頻出度順に掲載されます。この方式は比較的簡単な単語からスタートする為、効率を求める際には非常に有効ですが、単語同士の意味のつながりができにくいという難点があります。
一方、テーマ別の鉄壁方式では、同じ意味ジャンルでまとめて学習する為、単語同士のつながりは勿論、ニュアンスの違いまで理解することができます。ただしこれはいい事ばかりではなく、テーマ別に同じジャンルの単語が並ぶからこそ、最初の1~2周は単語同士がごちゃごちゃになりやすく、しっかり定着させるには何度も繰り返し復習することが不可欠です。そのため受験までの期間が短い方にはあまり向いていません。
他にも単語のイメージを掴むのに役立つ解説やイラストなどを豊富に盛り込んでおり、東大や京大などの最難関大学に頻出の抽象的な英文和訳対策として最適です。
DUO3.0
最後に紹介するのは『DUO3.0』です。
こちらは純粋な大学受験用単語帳というわけではなく、また癖の強い構成で確実に人を選びます。しかし合う人にとっては、まさに「運命の1冊」になりうるポテンシャルを秘めている、熱烈な愛好者が多い単語帳です。
最大の特徴は単語単位でもなくフレーズ単位でもなく、文単位で単語熟語を暗記するというところです。560の英文に現代英語の重要単語1600語と重要熟語1000語を詰め込んだ暗記する価値のある英文で、単語熟語の意味だけでなく使い方までマスターでき、英作文対策にも有効です。この英文は米国の大学教授3名を含む15名のネイティヴの監修によるもので、自然な文のなかに良くこれだけ単語熟語を詰め込めたなと感心してしまいます。また一般的な単語帳に多い、政治経済などのお堅い分野の例文だけでありません。個性的な登場人物たちによる、思わずクスッとしてしまうような例文が程よく含まれており、肩の力を抜きながら楽しく学習できます。
注意点として、この単語帳を使う方は別売りの『DUO3.0/CD復習用』を必ず活用してください。むしろこの復習用CDこそが本体といっても過言ではありません。
文単位での暗記は数周やっただけで完成するものではありません。この『DUO3.0/CD復習用』は一冊分560の英文が約1時間に収録されており、毎日の通学やスキマ時間を活用すれば一日一周という破格の復習回数が実現できます。
最初はなかなか覚えられずイヤになることもあるかもしれません。しかしあまり神経質に考えず、語学学習の本質である「習うより慣れろ」の精神でコツコツ取り組みましょう。またCDの音声はネイティヴによるナチュラルスピードでの収録なのでリスニング対策にもなりますし、シャドウイングを習慣にすればスピーキングにも効果があります。
最後に、『DUO3.0』は相性が良ければ非常に優れた単語帳ですが、その癖の強さから前述したように人を選びます。筆者があまり向いていないと思うのは以下のような方です。
上記に当てはまる方、特に音声学習があまり好みでない方は違う単語帳から選んだ方が賢明です。
最後に
ここまで大学受験用英単語帳の選び方とそれぞれの特徴について説明してきました。しかし実際に購入する前に、必ず近所の本屋さんやAmazonなどで中身を確認してください。自分の目で確かめて「これなら続けられそうだ」と思える単語帳を選んでください。
みなさん一人一人が大学受験を共に歩む運命の1冊と出会えることを願っています。
大学受験でお悩みの方へ
筆者が横浜で主催している受験塾、DUO受験パーソナルトレーニングでは受験生の皆様の目標、現状に合わせた最適な学習プランを作製、指導しています。これまで東京大学、早慶を始め、多くの難関大学合格者を輩出してきました。英検、TOEIC対策コースも実施中です。2024年度合格速報公開中!
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